聖パウロ女子修道会 協力者会 −ともに福音を宣教するために−

第41回「世界広報の日」教皇メッセージ
   子どもとメディア−教育における課題 3

解説:聖パウロ女子修道会会員 長谷川 昌子

 皆様とともに、今年の広報の日のメッセージを読み深めるため、3回に渡ってお届けする、“子どもとメディア−教育における課題”について最終回です。

※ 緑色の太文字は、教皇メッセージ

3.美・真・善を子どもたちに教えたいという、親や教師のこの心からの願いをメディア産業が支援できるとすれば、唯一の方法は、基本的な人間の尊厳、結婚と家庭生活の真価、そして人類のすぐれた業績と望ましい目標について世界に訴えていくことです。だからこそ、今のメディアに必要なのは、業界内部の効果的な体制づくりと倫理規範の遵守に真摯に取り組むことであると、親や教師だけでなく、公共心を持つすべての人々が、特別な関心といらだちさえ覚えながら考えているのです。

パソコン

  ここで教皇様は、「唯一の方法は、基本的な人間の尊厳、結婚と家庭生活の真価、そして人類のすぐれた業績と望ましい目標について世界に訴えていくことです」とおっしゃっています。

 インターネットによってこれらのことが危うくなっています。人間の尊厳、結婚の尊さ、家庭生活の価値、これをわたしたちが訴えていかなければならないことです。
よくヨハネ・パウロ二世は、「家庭は教会の最小単位」とおっしゃっていましたが、わたしたち信者は、このことをよく心に留めておく必要があります。

 社会的な情報発信活動に携わる人々の多くは正しいことをしたいと思っている(教皇庁広報評議会『コミュニケーションにおける倫理』4参照)という意見を指示する一方で、わたしたちはこの分野で働く人々が「特別な心理的プレッシャーや倫理的ジレンマ」(『エターティス・ノーベ』19)に直面しているという事実も同時に認めなければなりません。これが原因で、営利競争にさらされている情報発信者が、やむなく倫理基準の低い方に流されるということが時々起こっています。エンターテイメントの名の下に暴力を礼賛し、反社会的な行動をありありと描写する、あるいは人間のセクシャリティを軽んじて表現するようなアニメ、ビデオ・ゲームといった番組、商品を制作する志向は、すべて邪道であり、ましてそのような作品が子どもや青少年向けに流されていることを考えると、嫌悪を禁じえません。暴力や搾取、虐待に現実に苦しんでいる大勢の純真な若者たちの前で、これが「エンターテイメント」だなどとどうしていえるでしょうか。

 送り手の倫理についてのべている箇所です。
テレビの送り手の倫理を考えるだけでは足りません。技術の進歩によって、送り手と受けての境界線がなくなっています。特に、インターネットでは、受け手であると同時に、子どもでさえも送り手になることができるのです。

 この状況の中で、小・中・高校・大学生を問わず、「メール・リテラシー」を彼らの生活と発達のレベルに合わせて、習得するようにしていかなければなりません。
これは、日本の教育界が抱えている大きな問題です。

 ある先生方は、「情報モラル教育」を実施なさっておられます。そのカリキュラムによると、1年間で学ぶ内容として、以下のことを挙げておられます。

  

 ここで、聖書にある二つの人物像を対比してみるのがよいでしょう。「子どもたちを抱き上げ、手を置いて祝福された」(マルコ10・16)キリストと、「これらの小さい者……をつまずかせる」よりも「首にひき臼を掛けられ……てしまう方がましである」(ルカ17・2)とされる人です。制作に携わる人々を教育し励まして、彼らが社会の共通善を保護し、真実を支持し、一人ひとりの人間の尊厳を守り、家庭のニーズをもっと尊重するように働きかけてください。

4.神から救いのメッセージをゆだねられた教会自身もまた、いわば人類の教師なのですから、これを機会に親、教育者、情報発信者、そして若い人たちへの支援を喜んで行うつもりです。現代のメディア教育は、小教区と学校が最前線に立って行うべきでしょう。とりわけ教会は、人と人との価値あるコミュニケーション全体のかなめである、人間の尊厳というビジョンを担う存在でありたいと考えます。「(わたしは)キリストの目で見ることによって、外的に必要とされている以上のものを人に与えることが可能……です。すなわちわたしは、人が求めている、愛のまなざしを与えることができます」(教皇ベネディクト十六世 回勅『神は愛』18)。

 教会自身は、人類の教師ですから、これを機会に親、教育者、情報発信者、若い人々への支援を行うつもりだと、教皇様はおっしゃっています。

 このことを特に使命として生きているわたしたちは、さらに、このことを心にとめて実行しなければなりません。

 現代のメディア教育は、小教区と学校が最前線に立つべきだと、教皇様はおっしゃいます。皆さんの所属の小教区では、いかがですか? また、教区内にある学校に機会がある時には、メディア教育を行ってくださるようにお願いすることも重要です。

 コミュニケーションの使徒であると言われているわたしたちは、「人と人との価値あるコミュニケーション全体の要である、人間の尊厳というビジョンを担う存在」でなければならない、と教皇様から促されているようです。
 最後に引用されている『神は愛』の言葉は生きていますね。

2007年1月24日
聖フランシスコ・サレジオの祝日に
バチカンにて
教皇ベネディクト十六世

(訳:カトリック中央協議会事務局)