聖パウロ女子修道会 協力者会 −ともに福音を宣教するために−

聖パウロの霊的娘・忠実な弟子聖女テクラ

アルベリオーネ神父 1959.9

聖女テクラ
聖女テクラ

 聖パウロは、手紙を書くときいつも、多くの忠実な弟子や協力者の名前を挙げ、その信仰を褒め、彼らのために神に感謝し、彼らを心から信頼し、教え励まし、大切にしていました。

 初代教会の伝承によれば、更に多くの弟子や協力者が聖パウロに倣って、彼の宣教活動に従っていたことが伝えられています。なかでも聖パウロの最初の霊的娘といわれる聖女テクラは、特別の崇敬を受けてきました。
 それは、師である聖パウロの教えと模範に忠実に倣い、受けた福音を人々に語り伝えたばかりでなく、福音のためにさまざまな苦難を堪え忍びながら、ひたすら神への奉仕に献身し、忍耐と柔和、従順と純潔の模範となったからでした。

 テクラは、パウロとバルナバが第一回宣教旅行の途中ピシディアのアンティオキアで迫害に遭い、イコニオンに逃れて身を寄せた家の近くの、裕福な家庭に生まれました。パウロの説教を聞いたテクラは、彼が説くキリストの人間に対する無限の愛に強く心を惹かれました。

 実に、いつの世にも、けっして人間的な動機によって働くことのない聖なる霊に満たされた人がいるものです。そういう人々は、キリストに対する全き愛と寛大な心で生きるので、その人のすべては神に向かって秩序づけられているのです。ですから、この世の自然的な満足のために何事かをしようというような考えは心に浮かぶことすらありません。聖パウロがいうように、彼らはキリストに捉えられたからです。

 聖霊に満たされてパウロの導きに素直に従ったテクラは、信仰に反する多くの誘惑や危険ばかりか、命を奪われかけたことも一度ならずあったと伝えられています。その苦難の中で神に対する信仰は深まり、いっそう宣教の使徒職に献身していったのでした。/p>

 神は人を偉大な聖性にお召しになるとき、必ず多くの十字架を提供なさいます。十字架は神の愛の印であり、忍耐強くこれを担うことは神に対する愛の証です。この犠牲によって魂は聖化されるのです。

 わたしたちも聖女テクラに祈りましょう。この聖パウロの忠実な弟子聖女テクラが神から受けた賜を讃え、その模範に倣い、彼女が使徒の忠実な弟子であったように、わたしたちをもまことの使徒パウロのよい弟子にしてくださるよう、取り次ぎを願いましょう。それは、聖女のように使徒職の精神に満たされ宣教に献身することができるためです。

 そして、聖パウロに対する生き生きとした愛を願いましょう。彼女は聖パウロに素直に従いました。すべてにおいて彼に従い、師父パウロがより完全な道として示した道、すなわちこの世の過ぎ去る命、富や安楽、名誉や権力を超えた永遠のしあわせを求める道を歩んだのです。

 聖女は使徒聖パウロの模範的な娘であったばかりでなく、歴史や伝承によると、聖パウロに従った宣教者の先駈けとなったのですから、聖パウロのよい弟子であろうとするわたしたちはみな、聖女テクラを聖なる保護者と考えると同時に、自分たちの長姉とみなすことができるのです。

 歴史家たちは、聖パウロの足元に座り、真理に飢え渇く者のように注意深く師の言葉に聴き入る聖女テクラの姿を伝えてくれます。わたしたちも聖パウロの手紙をよく読みよく黙想し、聖女のように彼の保護に身を委ね、わたしたちの内にも使徒の魂を養ってくださるよう祈りましょう。